そうだよ。
僕たちは…………僕はいったい誰なんだ?
そんな疑惑にもにた疑問が浮かび上がった時、僕は思わず後方へと後ずさっていた。
「――――っつ!」
「えっ…………?」
それはほんの少しだったと思う。
僕の不注意で後退した結果、隣にいた春馬の左腕にわずかに僕の腕が触れた。
「春馬ごめん。そんなに強くぶつかったかな?」
春馬は僕の腕が当たったであろう左腕を押さえていた。
僕はすぐに春馬に謝った。
「いや、大丈夫だ。突然だったからビックリしたよ。モニターに夢中だったしな」
「そう…………だよね。ごめん」
異様な空間で、この世界の光景とは思えない映像が流れ続けている。
目をそらしたい気持ちも勿論ある。だけど、人はそうそう恐怖という誘惑に、恐怖という好奇心に勝てはしない。
恐ろしい光景に傾視してしまうのは至極当然なことだった。
そう、それが誘惑や好奇心によるものであったのならば。
そうだ。
僕らは知るのが遅すぎる。
それはまるでシャボン玉が、球状に形成されては消滅していくという事実が決定付けられていることすら
忘れてしまっているかのように。
クラスメイトを救うための最後のチャンスすら、すでに尽きてしまっていたのだという事実に気づきもしなかったんだ。



