「オレはどんなことをしてでも紗由理を助けたかった。それなのにオレは結局あいつを殺してしまった」
膝をつき、寺井くんは声にならない叫び声をあげるように、天井を仰いで泣いた。
「先生役に伝えられたルールはそれだったのか…………」
…………理不尽なルール。
そのルールによってアイツの目的がほぼはっきりした。
やはり、アイツの目的は殺戮ゲームだったのだ。
「なら、やはり僕たちは実験に参加した人を責めることはできないよ。
そんな正解もない問題に直面して、相手のことを思ってボタンを押したんだったら」
友澤くんの意見は最もだ。
最もなんだけれど、どうしても納得することはできなかったんだ。
僕は力なく隣の席を見た。
そこには白い菊が供えられていた。
「小池っち…………どんな気分でお前は電気ショックを受けていたんだ?」
「泣いてるの?」
ふと声に気付いて見上げると原田さんが小池っちの机の側に立っていた。
「小池くんの気持ち気付いてた。でも、私は嫌われるのが怖くて返事をしてあげることもできなかった。
ごめんなさい。ごめんなさい…………」
二度謝罪をして、原田さんは自分の席に戻った。
「なぁ小池っち。お前のおかげで久々に原田さんの声が聞けたよ?すげぇよ。
お前、すげぇよ」
悔しかった。
友だちが苦しんでいるのに何もできない自分が。
アイツをこんなにも恨んでいるのに、アイツの協力者だと疑われた自分を守ることもできなかった自分自身が。
悔しさが液体になって、目と鼻からあふれでた。



