ケンショウ学級


春馬の正義感とか行動力には本当に感謝しているし、頭が下がる。それでも、僕はわざわざ正論で事を荒げる必要はないと思ってしまう。これは問題の回避なのか、単なる逃げなのか答えは分かり切っているけれど。

「あーあ、お前のせいでプリントくしゃくしゃじゃねぇかよ」

「ごめん」

そう呟いて僕は席に戻る。そんな僕の姿を見て、佐野くんはわざとらしく春馬の方を見ながら笑っていた。

春馬は当人よりも悔しそうに舌打ちをして席に戻る。

ほどなくして予鈴が鳴り響いた。



あぁ、「幸福でありきたりな日常」が駆け足で崩れていく。

神さま…………僕らがいったい何をしたというの?