お互いを視認できなくなり、嫌でもアイツの説明を受ける他なかった。
でも、何故アイツは二度説明をするという無駄をするのだろう。
モニター前の僕らはすでに説明を受けている。
ここまでのアイツの傾向からすれば、できるだけ無駄はなくスムーズに実験を進めていく節があった。
きっと、アイツからしたら僕らへの講義ではなく、実験の検証が最重要課題であるからそうしているのだろうけど。
「これから君たちに行ってもらうのは、『連合学習課題による記憶の強化』を実証する為の実験です」
え?さっきの説明と違う。
さっきは『閉鎖された空間における権威者への服従』を検証する実験だと。
「これが、アイツの言ってた偽の実験ってことなのか?」
友澤くんの言葉で思い出した。
そうだ、アイツは確かに皆には偽の実験を行ってもらうと言っていた。
「なんか覆面捜査みたいだな」
頭の良い人は考えることが複雑なんだなと素直に思ってしまった。
提示された実験は、本当の検証したい目的を見る為の模擬的な実験ということだ。
「これから先生役には生徒役に対して連合学習課題の問題を出題してもらいます。
その際不正解の場合には強化子として電気ショックを受けてもらいます。不正解をする毎に強化子は強くされていきます」
ここまでの説明を終えて、各モニターに写る白仮面が一斉に先生役の元に歩み寄っていく。
「この前の声もだったけど、気味悪いくらいに白仮面達の動きって一緒だよな…………」
「ええ、まるで同じ映像を再生されているみたいにね」
友澤くんと中澤さんの分析も最もだと思ってしまう。



