僕が教室に着くと、皆は好き好きに会話をしていた。チャイムの鳴る3分前。もうほとんどのクラスメイトが登校していた。
女子のグループは昨日のテレビ番組に出ていたアイドルグループの話を、不良グループはメンバーの一人の彼女自慢。部活で仲のいいグループで集まったり、勿論中には席に座って読書をしたりしている人もいる。
どうして、こうしたグループができるのか?どうして人は心なんてものを持っているのか?誰もが思っていて、でも視界の片隅に置いておく。そんな小さくとも確かな疑問が昔からあった気がする。
「お、藍斗きたきた。間に合ったな」
「あ、なんか本借りたの?」
僕の席の隣は小池っちだ。そして僕らのグループは小池っちと春馬と僕と、冴えない眼鏡の堀井 亮二(ほりい りょうじ)で構成されている。今は僕が来るみでの間、小池っちの席に集まり亮二の好きなアニメの話をしていたらしい。亮二はアニメ大好き、いわゆるオタク。
「『心理実験の概要と成果』?また小難しいタイトルだなぁ」
そう言って亮二は目を細めた。そして、僕の目を見て言う。
「ほんと上杉はこういうの好きだね。勉強オタクだ」
「うるせぇアニオタ」
僕と亮二にとっては当たり前の挨拶みたいなもので、2人して笑った。オタクという言葉はなんとなく負の感情を感じるけど、僕はあまりそうは思っていない。
興味関心に対して没頭する。そういう個性の1つだと思うんだ。だから、僕らのこの「勉強オタ」、「アニオタ」というやり取りに悪意など無かった。
「うわ、漢字だらけ。目がチカチカするー」
いつの間にか大上先生から借りたその本をめくっていた小池っちがそう呟いた。小池っちは勉強が苦手だから活字を見ると目がチカチカするらしい。
本は読むと色んなことを教えてくれるから面白いんだけどな。小池っちは眉間に皺をよせながら、ペラペラと読むでもなく本のページをめくっていた。
『キーンコーンカーンコーン』
「……っと、席つこうぜ」
チャイムがなってパラパラと席に着いていく。今日は二時間目に社会の授業もあるし楽しみだな。一時間目終わりの休み時間にちょこっとでもこの本に目を通したいけど、そう思うと僕はウズウズした。
そんな気持ちを抑えながら、僕は大上先生に借りたその本を丁寧に机にしまった。
女子のグループは昨日のテレビ番組に出ていたアイドルグループの話を、不良グループはメンバーの一人の彼女自慢。部活で仲のいいグループで集まったり、勿論中には席に座って読書をしたりしている人もいる。
どうして、こうしたグループができるのか?どうして人は心なんてものを持っているのか?誰もが思っていて、でも視界の片隅に置いておく。そんな小さくとも確かな疑問が昔からあった気がする。
「お、藍斗きたきた。間に合ったな」
「あ、なんか本借りたの?」
僕の席の隣は小池っちだ。そして僕らのグループは小池っちと春馬と僕と、冴えない眼鏡の堀井 亮二(ほりい りょうじ)で構成されている。今は僕が来るみでの間、小池っちの席に集まり亮二の好きなアニメの話をしていたらしい。亮二はアニメ大好き、いわゆるオタク。
「『心理実験の概要と成果』?また小難しいタイトルだなぁ」
そう言って亮二は目を細めた。そして、僕の目を見て言う。
「ほんと上杉はこういうの好きだね。勉強オタクだ」
「うるせぇアニオタ」
僕と亮二にとっては当たり前の挨拶みたいなもので、2人して笑った。オタクという言葉はなんとなく負の感情を感じるけど、僕はあまりそうは思っていない。
興味関心に対して没頭する。そういう個性の1つだと思うんだ。だから、僕らのこの「勉強オタ」、「アニオタ」というやり取りに悪意など無かった。
「うわ、漢字だらけ。目がチカチカするー」
いつの間にか大上先生から借りたその本をめくっていた小池っちがそう呟いた。小池っちは勉強が苦手だから活字を見ると目がチカチカするらしい。
本は読むと色んなことを教えてくれるから面白いんだけどな。小池っちは眉間に皺をよせながら、ペラペラと読むでもなく本のページをめくっていた。
『キーンコーンカーンコーン』
「……っと、席つこうぜ」
チャイムがなってパラパラと席に着いていく。今日は二時間目に社会の授業もあるし楽しみだな。一時間目終わりの休み時間にちょこっとでもこの本に目を通したいけど、そう思うと僕はウズウズした。
そんな気持ちを抑えながら、僕は大上先生に借りたその本を丁寧に机にしまった。



