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……と、いうわけで。


(き、緊張する………)


放課後。

図書委員の仕事でもないのに図書室に来たのは初めてだ。


扉の前で、深く深呼吸する。


(いるかな……篠宮先輩…)


今まで泉美は何度も図書室に来ていたが、俊を見たのは昨日が初めてだった。


とすれば、俊はいつもは図書室には来なくて、昨日はたまたまなにかの理由で来ていただけなのかもしれない。



もしそうなら、顔も覚えられているかどうかもわからない後輩が、クラスに行くなんてことできるはずもなく……。



(図書室にいなければ…会えないんだ…)



どきどきと高鳴る胸に、少しだけ不安が混じり始めたのを感じながら、泉美は静かに扉を開けた。


中はいつも通りしんとしていて、今日は2、3人しかいなかった。


その中に、俊の姿はない。


「……はぁ……」


肩の力が抜けるとともに、自分がずーんと落ち込んでいるのがわかる。



「…まあ、そんなもんだよね……」


あんな綺麗で、知的で、雲の上の存在のような人と、自分がどうにかなるわけない。


見られただけで、よしとするべきだ。


泉美がそう、自分に言い聞かせながら帰ろうとすると、図書室の扉が、静かに開いたーーーーー……………。