「あ〜……なるほど……」


「え、何? 何がなるほど?」


頭の上にはてなを飛ばしている泉美を見ながら、百合はまた呆れたように笑う。


「そういうことか。……なんだ、私が心配してたのが馬鹿みたいね」


「え、だから何が!?」


ひとりで納得する百合に泉美が頬を膨らませると、百合は呆れたような笑みのまま言った。


「まったく…この子のために眼鏡かけるとか……どんだけ好きなんだか…」


「え? 何? 聞こえない!」


「いいのよあんたはわかんなくて! 彼氏にでも聞いてきなさい!」


そう言うと百合はカバンを持って、さっさと帰っていってしまった。





☆。.:*・゜☆。.:*・゜☆。.:*・゜





「こ、こんにちは!」


「クスっ……こんにちは」



いつもの放課後。

いつもの図書室。

いつもの雰囲気。



ただひとつ違うのは、今日からはただの「先輩と後輩」ではないということ。


意識しすぎてガチガチの泉美に、俊は表面上は微笑みながらも、抑えきれない喜びを隠し通すのに必死だった。








ずっと、ずっと恋い焦がれていた。



いつも同じ部屋にいたのに、その視線は向けてもらえなくて。



話しかけたくて、触れたくて、抱きしめたくて、けれど叶わなかった。



………その相手が今、こうして横にいてくれる。