「まだ言うの?

君は強すぎて、周りの人間にどんな扱いをされて生きてきたか。

俺には分かるよ。

君のその時の気持ち。

なんでこんないい子に育っちゃったのかは分からないけどね。」


「…………あの時はあの時です」


今は違う。

『あの人』のおかげで。


私は自分という人間だけど人間じゃない、
曖昧な私を受け入れることができたんだ。



私の強い決意を込めた目を見て。


「………はあ。君をこちら側に連れてくるのは時間がかかりそうだね。


まあいいや。

今日は仕事を手伝ってほしいのもあったんだ」


意外とあっさり。

笑顔に戻って、神凪さんは話を変えた。