「あのね、凛が目を覚ます直前に、 誰かがお見舞いに来てたんだって」 凛が言う。 「…………は?」 見舞いに来るような親戚も、 友人もいない。 「髪が背中まで伸びた高校生だったって看護師さんが言ってたよ」 「え………?」 俺の脳裏に浮かんだのは。 『蘭』 無造作に伸びた髪を揺らしながら笑う、 あいつ。 「蘭…………」 深月も気付いたのか、 はっとした顔をしている。 まさか。 まさかあいつが、凛を目覚めさせたのか?