帰り道、未戸香に引っ張られる形で後ろを歩く陽一。 岸本くん、今どんな顔してるんだろ。 背を向けて歩いてるから顔が見えない。 わかるのは、あたしが触れている腕が少しづつ温かくなっている事だけ。 特に会話もなく、無言の空気が流れる。 近所の家の角を曲がった時、ぐいっと腕を引っ張れる。 「え、あ、わっ!」 その勢いでぎゅっと後ろから抱き締められる。 「あ、えっと…」 抱き締める人なんて1人しかいない。 でも、なんで…なんで抱き締めるの? パニックになりつつ冷静になる。 「き、岸本くん…?」