どことも知れぬ辺境の地にて、それは触れてはいけない物とされてきたーー
だが、ここにかの物を求める物が1人、双翼の装飾がなされた銃を片手にやっとの思いで辿り着いたのだ。

黒髪の髪にあまり長身とは言えない背にまだあどけなさが残る顔立ちが、かえって彼を幼く見せた。

彼の名はオーギュスト・ルイ

一昨年にヴァンパイアハンターとして辺境の村ウィルタのヴァンパイアハンターとして着任したはず…なのだが、聖なる魔法すら満
足に使えず、挙句武器の扱いにおいてもまだまだ未熟と言えようーー

「ここに、ブラッディーマリーが?」

オーギュストはごくりと喉を鳴らす。 

緊張の為か、僅かに手が震えていたーー