「ヒィィィ」
思わずスゴい声が出てしまった。
平然を装ってても頭の中だとすれ違うサラリーマンや大人の人が怖くて。
あのサイトを利用してる人だったらどうしようとか私の写メを見た人がいるんじゃないかとか、そんなことを考えていたから。
「あ、これ落ちたんでその……」
振り返ると気の弱そうなおじさんが気まずそうにしていた。その手には見覚えのあるハンカチ。
「……あ。すす、すいません。ありがとうございます」
それは栗原先輩に借りたハンカチだった。いつでも返せるように洗ってポケットに入れたままだったんだ。
……おじさんに悪いことしちゃったな。
ただハンカチを拾ってくれただけなのに、あんな反応をしてしまって申し訳ない……。
「七海ちゃんって後ろから声かけられるの苦手?」
情けない姿を健二くんに見られてしまった。
「ほら、俺が声かけた時もビクッ!って驚いてたから」
「じょ、条件反射的にその……」
ただ私の感覚が鋭くなっているだけ。
毎回こんな反応してたら疲れるし身がもたないことは分かってるんだけど、体は正直でビクビクしてしまう。
「やっぱり送らせて」
「え?」
「家までとは言わないからせめて近くまで。ね?」



