もちろんハチは私に対して恥ずかしいからあっちにいけとか、学校では話しかけるなとか言ったことはない。

むしろ私が追いはらうことはあるけど、ハチはだれがいてもどこにいても幼馴染みってことを隠さないし、私への接し方も変わらない。


きっと男女がこうしてひとつ屋根の下で横になってることも、他の人から見たらヘンなことなのかもしれない。

正直ハチとは同じ布団で寝れちゃうし、文句をつけるとしたら狭いってことぐらいしか思い付かないほど距離が近くても問題はない。


「んーべつに。その茶化しがナナに向いたらキレると思うけど俺が言われる分にはなんとも思わないなぁ」

ハチは本当にそう。

自分に関心がないのか評価が気にならないのか、全くといっていいほど自分がなにを言われても怒らない。


――『だって八島くんが怒るのって全部七海のためじゃん。愛だね。羨ましい』

ふっとその時、裕子の言葉を思い出した。


私には大切なものがあって、それは勉強とか家族とか自分の時間とか片手では収まらないほどたくさんある。

それはハチも同じでその大切なものの中に私はいるし、私もハチがいる。

だけど……。 


「ハチ。もし私と栗原先輩が海で溺れてたらどっちを助ける?」
 

だけど必ず優先順位があって、いくら幼なじみでもいくら大切でも選ばなきゃいけない時は必ずある。