「あー、そういえば私1組に行かなきゃいけないんだ」
午前の授業が終わり昼休み。カバンの中にあるふたつのお弁当を見て思い出した。
「八島くんに取りにきてもらえば?」
「うーん、でも自分で行った方が早い気がする」
ハチから連絡があれば取りに来てと言うつもりだったけど珍しくなにも言ってこないし。またこの前みたいに理科室に来てとか言われたら困るから早く渡しに行こう。
「ねぇ、お昼一緒に食べようよ~」
栗原先輩の声。1組の教室から腕を引かれているのは勿論ハチ。私はなぜか反射的に隠れてしまった。
「俺今から6組に行くところで……」
「6組?なんで?」
「ナナのとこ。弁当受け取ってないから取りに行く」
「もしかしていつも食べてるやつって七海ちゃんに作ってもらってるの?」
「そうだけど」
「ふーん……」
ハチが先輩に対して敬語じゃなくなってる……!とかはどうでもよくて。どうしよう。ますます出て行きづらいよ。
たしかに先輩からしたら手作り弁当とかあんまりいい気持ちはしないよね。ハチは彼氏なんだし。
今までも嫉妬とかで恨まれたりしたことあるけど、幼馴染みだからって押し通してた。
「ねぇー明日から私が瞬のお弁当作ってきてあげるよ!」
「え、なんで?」
「もう七海ちゃんだって忙しいんだからちょっとは考えなよ?」
きっと先輩は私のことを気遣ったんじゃなく自分が嫌だからそう言ってるんだなって分かる。
「ナナは面倒な時はちゃんと言うから平気だよ。それに料理作るの好きらしいし」
なのにハチは全然女心を学習してないのか理解していない。



