幼なじみとさくらんぼ




「ってか七海は平気なんだね」

祐子はおやつにと新発売の文字に釣られて買ったポッキーをぱくっと食べた。

祐子ってお菓子大好きなくせに太らなくて羨ましい……いや、そうじゃなくて。


「平気って?」

私も誘惑に負けて1本お菓子を貰った。


「八島くんと栗原先輩がキスしてても平気なんだなって」

「……」

「ほら七海は否定してたけどさ、やっぱり八島くんに対して特別な気持ちはあると思ってたから。だからモヤッともイラッともしないってことは本当にただの幼馴染みなんだね」

祐子は少し残念そうな顔をしていた。


前髪の寝癖が直らなくてイライラはしたけどそれはハチに対してじゃない。モヤッとは……分からない。

むしろその感情自体あまり経験したことがないけど、あの場面を目撃して感じたのは驚きだけ。

だから荷物を落とすなんて古典的な動揺をしちゃったんだけど。


【次の休み時間に100円貸して】

授業中ハチからラインが届いた。

100円?なんで?

そんな疑問を送る間もなくハチから【ジュース買う】【よろしく】のメッセージとスタンプ。


いや、100円ぐらい田村くんに借りればいいじゃん。ってかなんで100円ぐらい持ってないの?

あ、これがモヤッて気持ちなのかな。

だとしたら私はすごくイラッともモヤッともしてるけど。