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週末、私は少しオシャレをして駅前の噴水の前で立っていた。この私服は全部裕子のコーディネートで、動きやすい服がいいと言ったのに着なれない膝下のスカートを履いてきてしまった。
暫くすると私の元に人影が。
「はぁ……七海ちゃんごめん!バスが遅れてて」と慌てて走ってきたのは健二くん。
「なんか俺遅刻してばっかりだよね。本当にごめん!」
「ううん。私もさっき着いたばっかりだし」
今日は約束の日曜日。
あれから私は健二くんにデートの返事をした。
デートって言葉が重すぎるから【遊びにいってもいいよ】と送った。
「映画の時間けっこうギリギリかもね。ちょっと急ごうか」
「うん」
映画に行こうと提案したのは私。
待ち合わせ場所や行くところを健二くんと決めてる時、ふっと栗原先輩に貰った映画のチケットのことを思い出したから。
ちょうど2枚貰ったし期限も迫ってたから私から誘ってみた。健二くんは喜んでくれたけど私的にはまた面と向かって座ったりすると緊張するから映画のほうが助かるなぁって思いもあるわけで。
「俺のせいで慌ただしくてごめんな」
「いや、全然大丈夫」
日曜日は人も多くて速くで歩いてもなかなか前に進まない。するとなにを思ったのかいきなり健二くんが私の手を握ってきた。
「ちょっと走ろう」
「え、え?」
グイグイと引っ張られる私。
健二くんって今まで付き合った人はいないって言ってたけど、けっこう大胆というか……手を繋ぐ想定はさすがにしてなかった。
なぜかまたハチの手と比べてしまって、それを消すように自分に言い聞かせた。



