「あー私も天文学部入りたくなっちゃったな」

それから数日が経って今日の放課後、凪子と天文学部へ見学に行った。人数は私を含めて6人しかいなくて顧問の先生も他の部活と掛け持ちでやっていた。

だけど部室には星や宇宙の本が沢山あって、星がキレイに見える場所や時期も教えてくれた。


「なんか自由にやってて楽しそう。練習や試合するだけが部活じゃないもんね」

凪子は最近練習がキツいと泣きついてくるから、のんびりできる部活に憧れがあるみたい。


亜紀が言っていたとおり、現象がないと動かない部だけど部員が10人集まったら泊まり掛けの観測会を開くと約束しているらしくて、みんな仲がよかった。

直前まで迷ってたけど、なんか心が決まった感じ。


「波瑠はちゃんと亜紀先輩にも報告しないとね?」

「い、言われなくてもするよ!」

凪子にだけは近況を報告してるから、亜紀のことを話すたびにからかいも増えていく。

恋愛の話なんて自分には無縁だって思ってたけど、誰かを想うとこんなに世界が変わるんだなって実感する。

亜紀と両想いになれるなんて夢のまた夢だってわかってるけど、それでも夢は見たい。


――と、その時。

また死角になっている場所から声がもれてきて次に「ふざけんじゃねーよ!!」と怒号と一緒にパンッと乾いた音がした。