残念ながら願掛けは効かなかったらしく私は3組、親友の福田凪子(ふくだなぎこ)は6組になった。


「うう、波瑠と違うクラスなんてムリー」

「大丈夫だって。休み時間になったら遊びに行くから」

なかなか私の手を掴んで離さない凪子をまるでお母さんのようになだめていた。

それにしても生徒の数多いな……。クラスも6組まであるし、さすが人気の誠凌高校って感じ。


「でも波瑠が3組だなんて。先輩がそうしてくれたのかもしれないよね」

私の気持ちを代弁するように凪子が切ない顔をした。私はそんな凪子の肩を叩いて「ほら、もうすぐチャイム鳴るよ」と背中を押した。


彼がいた教室。彼が吸っていた空気。

自分がそこにいるなんてまだ信じられないけど、同じ高校に行くと約束したし。それに……。

私はまだその姿を探しているんだ。


またいつものように『波瑠』と呼ぶ声が聞こえてくるんじゃないかって思ってる。