「ちゃんと会いにこなきゃ、ちゃんと挨拶しなきゃって思ってたんです。でもなかなかできなくて……」
なにを言っても言い訳みたいに聞こえてしまう。
「亜紀の命日だから来てくれたの?」
「はい」
「2年経った今日に?」
「……はい」
やっぱり今さらだよね。
あんなに亜紀亜紀って言ってたのに、いなくなってからピタリと音信不通になって。花も供えない、手も合わせない私に呆れて言葉もないと思う。
気持ちの整理がつかなかった。
それぐらい時間がかかった、なんて言ってもそれは私の問題で亜紀の家族には関係ない……と、その時。
ふわりと私の髪の毛が揺れた。
「……波瑠ちゃん……来てくれてありがとう」
お母さんは私を優しく抱きしめて泣いていた。
そうだ。亜紀の優しさは両親譲りで。この人は亜紀を産んでくれたお母さんで。
みんなみんな、心の温かい人だって私は知っていたはず。
「う……ごめんなさい……っ」
緊張の糸が溶けた私はお母さんの洋服を掴んで、大泣きしてしまった。
そのあと、リビングの箱ティッシュがなくなるほど、私たちは目を真っ赤にして。
入れ直してくれたお茶をひと口飲んで、私は少し落ち着いた。



