今まで我慢していた涙が止まない雨のように溢れだした。


「……っ、凪子……私、どうしたらいいかな……?」

すると、凪子が私を抱きしめた。

それは私の弱さを受け止めるみたいに、強く強く。


「私、波瑠がムリして笑ってることも亜紀先輩を忘れられないことも本当は気づいてた。だけど、それに触れないことが波瑠の為だって思ってた」

「………」

「でも違うね。こうやってお互いに本音を言い合って、悲しい気持ちを一緒に分け合うことができたんだよね」

「凪子……」

「だって私たち親友だもん。それができるのが親友だもん」

きっと今私たちは同じ色の涙を流してる。


人はひとりじゃ生きていけないから、抱えられないほどの悲しみは半分っこしたっていいじゃない。

それができる大切な人がいるって、すごく幸せなことなんだ。

たくさん、たくさん、まだ、この世界に幸せは残っていたんだね。


「ゆっくり前に進もう。波瑠が心から笑えますようにって、私はずっと傍で見守ってるから」

「ありがとう凪子。本当にありがとう」


ねぇ、亜紀。

私はすごく弱虫だった。

キミがいないと、すべてが灰色に見えてしまうほど弱かった。


だけど、もし私に強さが残っているのなら。

立ち上がれる強さが残っているのなら。

きっとそれは、亜紀と過ごしたあの日々の中にある。