100万回の祈りをキミに

 



それから私は今まで以上に亜紀と一緒にいた。

脳腫瘍の症状は頭痛や吐き気以外にも様々なものがあって、亜紀は最近物が掴めないほどの手が痺れるようになっていた。

薬を飲めば一時的に改善されるけど、足が痺れてしまう時は歩けないほど力が入らないと言っていた。

脳は体を操る電波塔だ。

そこの伝達に不具合が起きれば、体だっていずれ動かなくなる。


「今日先生にこの前より腫瘍が小さくなってるって言われたよ」

「本当?」

亜紀が検査を終えて病室に帰ってきた。


いつも疲れたって顔で帰ってくるのに、今日はどこかご機嫌で。私も嬉しくて思わず椅子から立ち上がってしまった。

腫瘍が小さくなれば手術もできるようになる。

そしたら取り除いて、亜紀は病気じゃなくなって、元の生活に戻ることができる。

脳以外に転移はないし、あんなに薬も飲んで治療してるんだから小さくならなきゃおかしい。

むしろ遅いよって感じだよ。


「母さんにはまだ言ってないんだ。仕事が終わって来ると思うからその時言おうかなって」

「きっとお母さん嬉し泣きするよ!」

「母さん泣き虫だからなぁ」


こんな嬉しい気持ちは私も久しぶりで。外は天気がいいし暖かいから中庭を散歩することにした。