「まだ心の整理ができなくて。脳に悪性の腫瘍があるなんて知ったらあの子どんな顔をするか……」


最近私は亜紀の病気と向き合うために脳腫瘍について調べる決心をした。

それは絶望ではなく、希望を探すために。

そして分かったのは亜紀と同じように脳腫瘍で苦しんでる人が沢山いるってこと。ちゃんと完治して元気に生活してる人もいるし、不治の病ってわけじゃない。


「治療して腫瘍が小さくなれば手術もできるって本に書いてありました。亜紀も絶対手術できないってことはないですよね?」

「そうできるように今色々な療法を先生たちもやってくれてるわ。もし手術できるなら例え後遺症が残ったとしても絶対やってくださいって私も言うつもりなの」


亜紀の主治医や看護師たちは私がどんなに詳しく聞いても教えてくれない。

だから亜紀のお母さんが包み隠さず話してくれることは本当にありがたい。


「希望はありますよね?私亜紀の病気は絶対治るって信じてますから」

私が強くそう言うとお母さんは亜紀と同じ顔で笑った。