「受験かぁ。それが終わったら亜紀は卒業しちゃうんだね」

「うん。中学3年間本当にあっという間だった」


高校生になった亜紀はどんな感じだろう。

今よりずっと大人っぽくなって、高校でも女子にモテちゃうんだろうな……。そう思うとなんだか心配。


「卒業したら寂しくなるね……」

「なんで?」

「だって学校に亜紀はいないし、校内で見かけることもないんだと思ったら……」

「でも波瑠と堂々と手を繋いで新しい関係になれる。だから俺は早く卒業したいな」

――!!


私と亜紀の新しい関係。それはすごく特別で今よりももっと近い距離。

想像しただけで体が焦げるように熱くて、私は亜紀の目を見ることができない。すると亜紀は不適切な笑みをして、そっと私に耳打ちをする。


「こうして部屋の中なら誰も見てないし、ちょっと特別なことしちゃう?」

「な、なな……」

きっと私の顔は沸騰したヤカンのようになっている。


「ふ、冗談冗談」

「もう亜紀……!」

「ごめんって。あ、ケン起きた」

ケンも混ざって、またうるさい部屋に戻った。


こんな風にこれからも亜紀と楽しいことを共有していきたい。たくさん笑って、たまに喧嘩して、だけど仲直りして。

そんな毎日が続けばいいなって、強く強く思った。