あまりに自分の想像していたものとかけ離れていたから、強めに聞き返してしまった。
「あの席ってちょうど真ん中だし死角になってるから、先生が黒板書いてる時だと寝てやろうって気にならない?」
「………」
やっぱり夏井はバカだった。
私と亜紀の関係を知ってるから、色々聞かれたら面倒だなって思ってたけど……そんな心配はいらなそう。
どうせ挨拶をしたり、フットサルを教えてもらうだけの関係だったんだろうし。
――『押し潰されんなよ』
じゃ、あの言葉はなんだったんだろう。
いや深く考えるのはやめよう。夏井の戯言に付き合ってたらこっちが疲れるだけだ。
「そんなことしてると本当に留年するよ」
「俺だって必死で起きようとしてるんだよ。でもあの席が居心地よくてさぁ」
「居心地いいとかやめて。あの席は亜紀の……」
夏井があまりにバカバカしいことを言うから、つい口が滑ってしまった。
「え?塚本先輩がなに?」
聞き流してくれればいいのに耳だけは良いから困る。
「あの席は亜紀が座ってた席なの」
私だけが知っていることだったのに……。
まぁ、今回は言いかけてしまった私が悪い。
「え、マジで?」
「マジだよ」
夏井はかなり驚いていて、そのあと「そっか……そっか」と2回繰り返した。



