翼をなくした天使達




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午前の最後の授業は移動だった。なんでも視聴覚室で自然環境についてのビデオを見るらしい。

「私寝ちゃいそうだよ」

大きなスクリーンで見る為、部屋のカーテンは閉められて中は薄暗い。私は美保と隣に座って美保は既にあくびをしていた。

「たぶん寝てても大丈夫じゃない?金元先生だし」

「ってか金元も下向いてるフリして寝てる時あるよね」

美保とは普通に話せている。っていうか私が意識しないようにしてる。

橋本さんの事はまだ納得いってないけど、それだけじゃない。美保を見る度にあの映像の美保が脳裏にちらつく。

私に『うざい、キモい』と言った声。

今とは真逆でとても大人しくて化粧もしてなかったけど、あれは確かに美保だった。

私のもうひとつの世界に、私の知らない友達がいる。

ううん、美保だけじゃない。いじめられてる橋本さんも、担任の濱田先生だって……

「ねぇ、うちらもここ座っていい?」

ビデオ上映が始まって10分後、授業に遅れて
沙織達がやって来た。

空いてる席はたくさんあるし違う所に行けばいいのに…と思いながらも、すでに沙織達は私達の後ろに座った。