翼をなくした天使達




「相変わらずお人好しなやつ」

蒼井の元に戻ると最初にそう言われた。

その右頬を上げて言う嫌味は褒めてるんだって
最近分かるようになったけど。

「蒼井はさ、なにか変われた?」

「まぁ、親父にも言いたい事言ったし、
学校も一応卒業してーし。あとは……」

「あとは?」

「詮索してんじゃねーよブス」

笑う蒼井。本人は気付いてないみたいだけど蒼井は怖い顔より笑ってる方が増えた。それを言ったら笑わなくなりそうだから暫くは内緒のままにしておこう。

「なに?照れてるの?蒼井ってけっこう秘密主義だよね」

「うるせーな。まぁ、一番変わった事は……」

「事は?」

どうせまた教えてくれないんでしょ。
もうパターンが読めてきたよ。


「誰かといる事覚えたぐらい?」

「へ?」


それは私?

いやいや、ないない。

でも向こうの世界の美保と約束したんだ。気持ちを自覚した時が来たら否定しないって。

それを認めるのもひとつの勇気。


「あ、あのさ……」

なにを話そう?
なにからはじめようか?

悩んだり苦しんだりする事もあるけど、
それでもみんな何かを見つける。

空を飛んで自由になりたいと思う日があっても
地上に足を着けて迷いながら進んでいく。

終わりと始まりを繰り返し、

そしてまた新しい何かを探していく。

それが、私の生まれたこの世界。


─────私はここで生きていく。




〔翼をなくした天使達 END〕