「どうすればって...」
どうすることもできないじゃない。
でも、しいていえば―

「幸せが欲しい。」
そう。幸せが私は欲しかった。
あの、虐待されたひびったから
抜け出して幸せな日々を
送りたかった。
友達と遊びに行ったり
家族で旅行にいったり
してみたかった...。
今じゃそんなことできないだろうけど。

「...その幸せというものがなんなのか
俺はしらない。けれど、
お前が俺と一緒にくれば
その幸せをあげることができるかも
しれない。」

幸せにしてくれる...?
あの苦しい日々から抜け出して
私を開放してくれる?

「一緒にくるか...?」
そう言って男は私に手を伸ばした。
あの世界から抜けれるなら...
「はい。」
私はこの人の手をとる。

「―契約完了。」
その時見えたんだ。
そのフードのなかの彼の目は
暁のように赤かった。