「っ!?お、お兄ちゃっ」


「危なっかしくて見てらんねーの」


あたしを抱えあげたまま、お兄ちゃんは駅のホームをダッシュ。


揺れるなんてもんじゃない!



「お兄ちゃんっ!おろして!」


必死の叫びも聞き入れてもらえず、結局あたしが地面へ降り立ったのは改札を出た、人の少ない道路だった。



「……ばかっ!」


降り立ったがいなか、キッと睨みつけたあたしに、苦笑いをしたお兄ちゃん。


全く……いたずらっ子なんだから…!



「怒るなよ、可愛い顔が台無しだぞ。ほら、あそこが星澟学園だから、ここからは一人で大丈夫だろ?俺、このまま仕事行くからさ」



お兄ちゃんが指さした方向を見れば、200メートル程先に見える門と、その先に見える豪華な建物。


あれが……星凛学園。


こんなに駅から近かったんだ。

それに流石と言っていいほどの外観。


まるでお城のようなその外観は、どこからどう見ても高校には見えない。


放たれた門から、あたしと同じ制服の子達が入っていくのを見て、少し胸が高鳴った。