「……これ」
「これね、あたしの小さい時だよ」
「…そーゆー事だったのか」
そーゆー事ってなんだ、とあたしはさらに首を捻る。
何故かスッキリしたような顔であたしからココアを受け取った翔空は、あたしの手を引いてベランダに出た。
……寒くないようにって中に入ったのに。
そう思いつつも、あたしに置いてあった毛布を肩にかけてくれる翔空に、キュンと胸が高鳴った。
「シキに、俺の初恋の話したっけ?」
「初恋?」
「うん、昔、公園で見かけただけの子に一目惚れしたんだよね。名前も何も知らなかったし、ほんと見惚れただけ…なんだけど」
そういえば、前にそんな話を聞いたっけ。
記憶を遡りながら、ココアを口に含む。



