「こんなところにいたら風邪ひくから、シキの家行こーよ」
「う、うん」
確かにこんなところでは、寒いだけだ。
あたしはすぐ目の前のアパートの部屋に翔空を案内する。
「へー、今はここに住んでるの?」
「うん」
部屋を見回している翔空にあたしは頷いた。
「今ココアいれるね」
あたしがキッチンでココアをいれ、部屋に戻ると翔空は棚に飾られた写真を真剣に眺めていた。
いくつかある写真の中で、一枚の写真を食い入るように見る翔空に、あたしは首を傾げる。
それは、あたしの幼い頃の砂場で遊んでいる写真だった。
お母さんに貰った、お気に入りの写真。
どうしたんだろう?



