「まあ、そんな所だろうな。自分が向こうに行くにあたって、こっちで翔空達を待たせる事は出来ない……とか思ったんだろ」
「馬鹿じゃないの、あの子」
「んー、だからって一言くらい欲しいよなぁ」
いや、多分……
シキは言えなかったんだ。
心配かけるとか、そんな事を悶々と考えて。
「……シキは、今、どんな風に過ごしてるの?」
俺の言葉に詩音さんは、深い溜息をついた。
「泣いてる」
「は?」
「え?」
「泣いてる?」
一斉に顔が曇った俺達。
そんな俺達を見て、詩音さんは苦笑した。
「二日に一回はかかってくるぞ、電話。夜中に泣きながら、怖い、帰りたいって」
「………………」
「翔空」
詩音さんは俺になにかを突きつけて来る。
「これ…」
「行くんだろ。シキの所に」
受け取ったのは飛行機のチケット。
それも、今日の夜中の便だ。
「……俺の妹なんだ。泣かせんなよ」
フッと笑った詩音さんに、俺は小さく頷いた。
シキが泣いてるのに、俺はいつまでもこんなところで空ばっかり見上げて、何をしてるんだろ。
シキを抱きしめるのは、俺の特権なのに。
俺の世界が、また色づき始めた事に気づいたのか夏と祐介がどこか安心したような顔をしている。



