「……詩姫、どうして」
「なにか事情があるんだろ。じゃなかったら、こんな事するような子じゃねぇし」
「行き先さえわかれば……」
夏と祐介がなにか話してる。
そういえば二人は制服だ。
ということは、もう学校も始まったのか。
シキのいない学校なんて、行ってもなんの意味もない。
生きてる意味さえわからなくなる。
ふと、スマホにぶらさがっているウサギが目に入った。
グレーの目がくりっとしたウサギ。
俺に似てるって言ってたっけ。
確かに似てるのかもしれない。
白でも黒でも無い、グレー。
「…シキ……」
無意識にぽつりと呟いたその名前。
夏と祐介が顔を見合わせたのがわかった。



