キミと初恋、はじめます。



「シキ、泣いてるの……?」



「え?」




お母さんの声に、ハッと気づくとぽたぽたと目から涙が零れていた。




「わ、なにこれ、ごめんね!ちょっと顔洗ってくるっ」



「待ちなさい、シキ」



「な、なに?」




ガタッと立ち上がったあたしを、お母さんは静かに止めた。




「……今のままで、いいの?」


「なに、が?」


「後悔…してるんじゃないの?」


「っ……」




お母さん、そんな事言ったってもう遅いんだよ。



あたしには、もう翔空に向ける顔なんて無いんだから。




「…大丈夫だよ、お母さん。顔洗ってくるね」




逃げるように病室を出て、トイレに駆け込んだ。



バシャッと顔に水をかける。