詩姫side



「もーいつまで泣いてるの」


「ご、ごめん……ぐすっ」



結局家の前につくまで、あたしは泣きっぱなしだった。



翔空がくれたネックレス、それが嬉しくて。


こんなに幸せなのに、離れなければならないこの運命が、辛くて。



翔空はその事を知らないけれど、泣き続けるあたしの手をずっと握ってくれていた。



ただこの家に帰るまでの時間は、翔空との別れが近づく時間でもあって。


耐えきれなくなった涙は、止まることなく流れ続けていた。



それでも、正面に立つ翔空を見上げる。



あぁ……好き。


翔空が、好き。


どうしようもなく、大好きで仕方ない。



でも今、この想いを伝えたところで、残酷な、あたし達を引き裂く現実は、変わらない。