東京の街中、珍しがるシキがあっちの店こっちの店と寄っていく間に、あっという間に夜になった。
まだ六時だというのに、空は真っ暗で、あちらこちらにクリスマスのイルミネーションが光っている。
「わぁ……すごい!」
公園の真ん中に立った大きなツリー。
全体がキラキラとイルミで飾られ、光り輝いていた。
ツリーを見あげながら、感嘆の声をもらすシキは今にもひっくり返りそうで。
「危なっかしいなー、ほんと」
後ろから抱きしめると、シキは照れたように「えへへ」と笑った。
「翔空、写真撮らない……?」
「ん、撮ろー」
遠慮がちに聞いてきたシキに笑って答えてから、二人でツリーをバックに写真を撮る。
嬉しそうに撮った写真を見るシキを、グイッと引き寄せた。
「写真じゃなくて、俺見てよ」
チュッと唇にキスを落とすと、シキはビックリしたように目を見開いたかと思うと、次の瞬間その目がうるみ始めた。
「え、し、シキ?」
嫌だった……わけじゃないよな?
慌てて涙を拭いたシキは、クルッと身体を反転させてしまった。
「う、嬉しかっただけ!」
やっぱり、なにかおかしい。
そう思いつつも、次の瞬間振り返っていつもと変わらない笑顔を見せてくれるシキに、この感覚が気のせいなのかと思ってしまう。



