「私達は王子の取り巻きじゃないです。ファンクラブにも入ってないし……」
「う、羨ましかったんです。王子が彼氏で、兄があの〝シオン〟で、生徒の皆にも親しまれてて……」
「ちょっと、脅かそうと思っただけなんです!ま、まさかこんな事になるなんて、思って無くて……」
今にも泣きそうな勢いで言った彼女達に、祐介くんの「なんだよそれ…」という呆れた声が聞こえて来る。
〝シオン〟の妹のあたしの事が、単純に羨ましかった、だけ?
まさか原因がお兄ちゃんだなんて、思いもしなかったから思考がついていかない。
翔空に関しては、怖い顔のままだし。
「「「ほんっとうに、ごめんなさい!」」」
三人揃ってあたしに頭を下げた彼女達に、あたしはオロオロと胸の前で手を振る。
「い、いや、大丈夫ですっ!まさかお兄ちゃんが原因だとは思わなくて、びっくりしたけど……」
反省してるみたいだし、許していいよね?
ちらりと翔空を見ると、不服そうながらもあたしの判断に任せる…という顔。
「今後一切、こういう事は……」
「「「絶対しませんっ!」」」
あたしはホッと安堵の息をついた。
「……じゃああとは、先生に任せてもらってもいいか?」
その声に扉の方を向くと、さっきの先生が全部の話を聞いていたのか、腕組みをして立っていた。



