キミと初恋、はじめます。



「へー……来たんだ」




その低い空気をも凍らせるほどの声に、女子達だけでなくあたしを含め、みんなの顔が強ばった。




「と、翔空……」



「ったくこいつ、また突拍子もねぇことしやがってよ!…あれ、もしかしてキミら?シキちゃん突き飛ばしたの」




扉の真ん前に立っていた翔空を押しのけて(この空気の中、そんな事出来るのは祐介くんしかいない)、あっけらかんとした声をあげた祐介くん。



三人の女子達は、恐怖からか涙を浮かべて震えてしまっている。




「ごめんなさいっ」


「で、出来心だったんです!」


「あの、私達シオンさんのファンでっ」



………………。



「「「「え?」」」」



南先生と響くん以外のあたし達の声がハモる。


し、シオンのファン?


お兄ちゃん?



「と、翔空の取り巻きの子じゃ、無いの……?」



思わずあたしが尋ねると、その子達は顔を見合わせてぶんぶんと首を振った。