鋭いからな……翔空は。
隠してもすぐわかるだろうし、言わずとも先生から聞き出しそうだし。
あたしがためらっていると、翔空の腕を響くんが掴む。
「なに?」
容赦なく響くんを睨みつける翔空にオロオロしていると、響くんは臆することなく翔空を睨み返した。
「……突き落とされたんですよ。華沢は」
静かにそう言った響くんに、翔空の顔が引き攣る。
「誰に」
「……さぁ。数人の女子ですけど、俺は知らない奴でした」
「っ…あ、あたしも知らない子だった」
なんとも言えないこの雰囲気に、冷や汗が流れる。
「あ、あのね、響くんはあたしを庇ってくれたんだよ」
「庇った?」
「うん、あたしの怪我が軽かったのは響くんのおかげなの」
「っ……」
翔空は、一瞬苦しそうに顔を歪めるとバッと踵を返して医務室を出ていってしまった。
「と、翔空?」
追いかけようにも、この足じゃ走れない。
あたしがオロオロとなっちゃんと祐介くんを見ると、ふたりは深く溜息をついた。



