「そんな二人してボロボロになって、何があったの!?」
救急箱片手にあたし達に駆け寄ってきた南先生に、あはは…と笑う。
「あたしが階段から落ちまして…」
「落ちた!?」
「それを響くんが庇って、一緒に」
「……突き落とされたの間違いだろ」
今はそんな事どうでもいいよ!
と言いそうになって、口を噤む。
「……まあ、今はとりあえず治療が先ね。どっちからに」
「…華沢からで」
南先生は、仕方ないと言った顔であたしの前にしゃがみこむ。
「どこが痛い?」
「あたしは足首だけです。落ちた時に捻ったみたいで」
「ちょっと見せてね」
他はいくつか小さい痣があるけど、そこまでひどいわけじゃない。
「うん、骨は折れてないわね。捻挫かしら」
湿布やら包帯やらをてきぱき施していく南先生にお礼を言って、あたしは響くんに視線を向ける。
「響くん、ごめんね」
「謝るな。…無傷で助けてやれなくてごめん」
「そ、そんな!それこそ、謝らないで!代わりに響くんが怪我するハメになっちゃったし……」
「…俺は男だから。女は傷が目立つ」
っ〜〜〜!
もう!誰よ、響くんが怖いって言ったの!!
こんなに優しくて友達思いなのに……
「よし、出来た。じゃあ次は、あなたね。……全身ってとこかしら。脱げる?」
「あ、じゃ、じゃあ、あたしそっちで待ってます」
慌てて立ち上がって、痛む方の足を庇いながらソファに移動する。
カーテンがしめられて、なんやかんやと南先生の声が聞こえてくる。



