「…ここじゃ、なんだな。とりあえず、他の先生呼んでくるから医務室に行っといてくれ」
先生が走っていくのを確認し、響くんはあたしの目の前にしゃがみこんだ。
「……こわかったか?」
「こ、こわくっなんて、無いけど……っ」
「…強がるなよ。立てるか?」
なんで、響くんはこんなに優しいんだろう。
立ち上がって、手を差し出してくれた響くんに掴まり立とうとして、顔が歪んだ。
「っ……」
「……足、痛むのか」
それだけで気づいたらしく、響くんは黙ってもう1度しゃがみこんだ。
「え?」
響くんは、あたしの背中と膝裏に手を差し込んだかと思うと、いとも簡単に抱き上げた。
「ちょっひ、響、くんっ!?」
「……ちょっと我慢して」
そのまま響くんは階段を降りて、医務室に向かう。
幸いな事に、そう遠くはない位置にある医務室。
「……失礼します」
「はーいって、シキちゃん!?どうしたの!?」
ガチャッと器用に扉をあけ、響くんに抱かれたまま入ったあたしを見た南先生は、驚いて駆け寄ってきた。
「あ、あたしは大丈夫です!響くんが庇ってくれたから…」
「……いや、俺より華沢の方が」
「いいから二人とも、とりあえずベットに座りなさいっ」
「「………………」」
言い返せず、響くんはあたしを慎重にベットに降ろし、自分もその横に腰を降ろした。



