「大丈夫か!?」
「……俺は平気です。それより華沢を」
「どう見たって平気じゃないだろ!」
起き上がってはいるものの、痛むのか壁に背を預けて座り込んだままの響くん。
あたしを庇ったばっかりに……
涙がこみ上げてきて、響くんの横に座り込む。
「ごめ…っ…ごめんなさい…っ」
「……泣くな。間に合って良かった」
「なんでっ…あた、しなんか、庇わなくて…いい、のにっ」
泣くなと言われても止まらない涙。
響くんが優しく頭を撫でてくれて、さらに涙が溢れた。
「とりあえず医務室に行こう。えっと…名前は?」
「……東条です」
「東条だな、立てるか?手貸すから」
響くんは足は大丈夫だったのか、立ち上がって先生に首を振った。
「……一人で大丈夫です。それより、階段から落ちたのは俺じゃなくて華沢です」
「華沢?確かにボロボロだけど、なんで」
「……突き落とされたんですよ。女子に」
「っ……それは、本当か?華沢」
普段ほぼ喋らない響くんが、あたしの代わりに話してくれている。
もう何がなんだかわからなくて、あたしはただ止まらない涙を、腕で拭っているしかなかった。



