「……華沢?」
「っ……大丈夫!呼んでくるから、待ってて!動いちゃダメだよ!」
痛む足を隠して、あたしは階段を駆け下りる。
ちょうどそこに先生が通りかかった。
確か……初日に、職員室で会った先生。
「先生……っ」
「お?ってどうした!?ボロボロじゃねーか!」
先生の言葉に、自分を見下ろしてみれば、制服は乱れ、足にはいくつか痣が出来ていた。
ほとんど衝撃を受けてないあたしがこうなんだから、響くんなんて比べ物にもならないはずだ。
「先生、響くんが!……響くんが、階段から落ちた……っ」
「はぁ!?」
あたしの指さした方向をみて、駆け出していく先生。
あたしもさっきよりも痛みを増した足のまま、階段を登る。



