キミと初恋、はじめます。



「シキってば甘えんぼさんだなー」



そう言いながら、あたしに頬ずりしてるのは翔空じゃないか。


あたしよりも数百倍、翔空の方が甘えん坊だと思うけどね!


自ら翔空の手を取って、二人で並んで歩き出す。



「楽しかった?修学旅行」


「んー、俺は寝てた記憶しかないな」



ふわぁ…と欠伸をしながら返ってきた返事に、あたしはクスクスと笑う。



やっぱりこの時間が好きだ。


電話じゃなくて、こうして隣でお互いを感じられる距離……それが一番安心する。



「ねー、俺シキ不足なんだけど」


「え?」


「5日も会えなかったんだから、今日はシキの事俺がひとり占めするー」



いつもの調子で、そう言った翔空にきゅんと胸が高鳴った。