「お母さん?」
「ん?」
「お父さんのどこを好きになったの?」
ふと気になった事を尋ねてみる。
すると、お母さんはくすっと笑って、人差し指を口元に持ってきた。
「ひ・み・つっ」
「えーっ!」
まさかここで秘密と言われるとは思わなかった……
あたしが頬を膨らますと、お母さんは可笑しそうに笑って、何か思いついたように身を乗り出してきた。
「そういうシキはどうなの?」
その言葉にボッと赤くなった顔を隠すように、顔を両手で包み込む。
翔空を、好きになった理由……
多分数えたら数え切れないくらいに、たくさんあると思う。
それほど翔空は魅力的な人だから。
でも、なんであたしが翔空を好きなのか、と聞かれたら……
わからない、が答えだと思うんだ。
理由もいらないくらいに、気づいたら翔空が好きだった。
好きだと、思った。
……こんなこと、恥ずかしくて誰にも言えないけれど。
「ひ、ヒミツ!」
「あら、ケチね」
「お母さんの娘だからね」
そんなやり取りを交わして、どちらからともなくブッと吹き出した。



