「俺もひとつ聞いていー?」 「なんだ?」 本当はひとつじゃなくて、聞きたい事はたくさんあるんだけど。 「親の転勤、いつなの?」 「っ……それは、シキが話したのか?」 この様子だと図星、みたいだね。 ちくりと胸に痛みを覚えながら、軽く首をふる。 「いや。なんとなくシキの事見てたらわかる」 「……よく見てるんだな、シキの事」 「うん。で、いつ?」 詩音さんは少しの間黙ったままで、赤信号に止まると、俺の方をチラリと見て言った。