キミと初恋、はじめます。



「じゃあ、来年の夏はふたりで星のたくさん見える所に行こーか」


「え?」


「もっとたくさん星が見える所で、シキと夏の大三角…見つけたいなーって」


「っ……行く!絶対行く!」


「約束?」


「うん、約束!」



あたしが小指を出すと、翔空が一瞬キョトンとしながらも、微笑んで小指を絡ませてくれた。


未来の……約束。

何の保証もない、不確かなものだけど。


こんなにも、胸が苦しくなるくらい嬉しいものなんだ。


来年の夏が、待ち遠しい。



「その前に明日の花火みないとね」


「あ、そうだった」



忘れてた、とごまかすように舌を出すと、翔空はコツンとあたしの頭を小突く。



「ちゃんとここで待っててよ?シキ」



待ってるに決まってる。


あたしは学園祭に出られず、残念な気持ちを抑えながらコクリと頷いた。


……花火、か。

お兄ちゃんは、お父さんの転勤の事を翔空に話したのだろうか。


2ヶ月後を思うと、胸が痛いくらいに締め付けられた。


苦しさを隠すように、そっと目を閉じると翔空の体温がすごくあたたかくて。

きっと、こんなにも安心するのは翔空だからだろうな。


なんでも包み込んでくれるような……

お日様みたいな温かさがあるから。


ねえ、翔空?

もしあたしが、この場所にいられなくなったら、翔空はどうしますか?


もし、あたしと翔空が、離れなければならない運命だとしたら……。



寂しがりのキミは、

どうするんだろうね……────