「慌てすぎ」 「っだ、だって!」 顔を赤くさせたまま、頬を膨らませると翔空はギュッとあたしに抱きついてきた。 「ほんと、かわいーね。シキは」 「か、からかわないでよ」 「からかってないよ。俺、いつも思うし」 もう……と溜息をつきながらも 少し冷たい秋の夜、翔空の体温が心地よくてそのまま身を委ねる。 「……離れたく、ないな……」 無意識に口にしていたその言葉。 すごく小さかったけれど、くっついている翔空には聞こえたのか、少しだけ抱きしめる力が強まった。