キミと初恋、はじめます。



確かに、一時期おさまっていたと思っていた喘息発作が最近多い気がする。



それも、前よりも酷い発作が。




「でも、学園祭……」



「知ってる?シキ。星凜学園の学園祭にはね、後夜祭があるんだ」




ガチャッと音を立て、器用に扉を開けた翔空は屋上に降り立つ。



冷ややかな風が頬をかすめ、ところどころに星が散らばる、夜の暗い空が視界に入った。



都会の空は、星が少ない。



あたしが前にいたところは、田舎だったから灯りも少なくて、星も数え切れないくらいに沢山散らばっていた。




それでも、なぜか。


この空に散らばる星は比べられないほどに少なくて、よわいのに…


翔空と二人きりで見る、この夜空はすごく特別なものに感じて


トクンと、鼓動が跳ねた。




翔空は、屋上の真ん中で、あたしを抱いたままその場に腰をおろし、自分の足にあたしを座らせる。