「詩音さんに呼ばれたー」
「お、お兄ちゃんに?」
「うん、深夜に仕事が入ってるんだって。一緒にいられないから、いてあげてくれって言われて飛んできた」
そうだ、今何時だろう……
「今はねー、んーと…11時半」
あたしの心を読み取った翔空が、ポケットからスマホを取り出して時間を教えてくれた。
それにしても今日は、よく寝る日だ。
はぁ…と溜息をついて、先ほどの事を思い出す。
……また、転勤。
2ヶ月後の11月といっても、まだこの東京に来てから3ヶ月ほどなのに、あまりにも早い。
でもいずれは、こうなる事はわかっていたんだ。
だからあたしは、ずっとこうなった時どうするか、考えてた。
今までは、転勤が決まったらあたしはお母さんと共についていくのが当たり前だったけれど。
今あたしは、この東京から離れたくない。



