苦しい……苦しいよ……
泣いた事で起きた発作なのか、息が上手く出来ない。
お兄ちゃんに顔を埋めたまま、あたしはなんとか落ち着こうと必死で我慢する。
今、倒れたら…
またお母さんがお父さんに、怒鳴られる。
「…シキ!?」
あたしの心とは裏腹に、フッと身体から力が抜けていく。
ズルッと崩れ落ちたあたしを慌てて支えてくれたお兄ちゃんの顔が、ぼやけてよく見えなかった。
あたしは……
いつも、いつも、肝心な所で…
「っ……ケホッ…うぇ…っ」
息が上手く出来ない。
こみ上がってくる咳でさえ上手く出せなくて、おまけに吐き気まで感じる。
それでも止まらないこの涙は、何に対してなんだろうか。
「っ母さん!吸入器は!?」
「たぶんシキの部屋……」
お母さんが走って行く音が聞こえる。
お兄ちゃんがあたしにゆっくり息をするよう促しているけれど、そう上手くいくものではなくて。
「……なんだ?これは」
そんな中聞こえてきた、お父さんの低い少し戸惑ったような声。
あぁ……
お父さん、あたしが喘息を持ってること、知らなかったんだ。



